2019.01.17

【2019.1.15】袋浦にてペンギンの調査中!

 

今次隊も昭和基地周辺でのペンギンの調査を行っています。

  

12月22日に本隊が昭和基地入りするなか、ペンギン調査をする生物隊員は、昭和基地からヘリコプターで南におよそ15分の、ラングホブデの「袋浦」という場所に移動しました。

  

ここにはアデリーペンギンのルッカリー(営巣地)があります。現在、子育ての真っ最中です。

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ルッカリーで子育て中のアデリーペンギン

 

ここ、袋浦を拠点とし、夏期間のペンギンの調査を行います。

  

母親1羽に卵は2個生まれるが一般的で、写真のように親は2羽の子を温めながら、ペンギンのヒナを狙うオオトウゾクカモメなど敵からも守ります。

  

ルッカリーには至る所にペンギンのフンあり、巣を中心に放射状に広がっています。また、フンの色は赤色で、これは、オキアミという海にいる動物プランクトンを餌としていることによるものです。

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ペンギンの様子を観察する隊員。どのペンギンにロガーを取り付けるか見極めます。

 

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ロガーをとりつけたペンギンが戻って来たことを双眼鏡で確認する隊員

 

この調査では、ペンギンの行動や生態を知ることだけでなく、オキアミの繁殖地を知ること、さらには、オキアミの餌である植物プランクトンの繁殖地を知ることにも繋がるため、海洋・海氷調査とも連動した調査とも言えます。

  

残り数週間の夏期間も、袋浦を拠点として調査を進めます。

  

  

 60次隊の現地での活動の様子は教員南極派遣プログラムHPのブログにも掲載されておりますので、是非ご覧ください!

➡BLOG「現在の派遣~最前線から、お届けします!~

 

 

【2019.1.14】「海鷹丸」ようやく、南極らしい穏やかな海

 

12日の夜半から海は荒れ模様。13日は観測開始予定の時刻になっても、12 m以上の風と、複数の方角から来る強いうねり。その後風は10 m台まで落ちましたが、今度は雪。風、雪、うねり。

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天候は回復に向かうと予想していましたが嵐は収まらず、いくつかのネット観測は断念、CTDの観測も断念しました。

  

14日未明。前日よりましと見て、観測を開始。しかし、依然うねりが大きく、またも途中で断念。この観測点は重要な観測項目が含まれており、スキップという選択肢はありません。この悪海況は数日続いており、いつ回復するのか見通しの立たない状況。しかし、どうしてもここで今やっておきたい観測があり、知恵を絞って観測方法を変更し、乗組員、専攻科学生、研究者が一体となって観測を実行しました。

  

本日(15日)未明2時、ブリッジに上がると氷縁が見えました。氷縁は海氷が密集する海域の北縁です。砕氷船ではない海鷹丸はここから南へは行けません。昨日までの嵐の海域を離れ南に来ると、ようやく南極らしい穏やかな海が待っていました。空にはナンキョクフルマカモメ、ギンフルマカモメ、ユキドリなどおなじみのメンバーが迎えてくれます。しかし、観測内容は今日もハードです。この観測点のスケジュール表には合計19時間45分と書かれています。もちろん交代で対応しますが、ずーっと起きていなければならない人もいます。この航海には25人の研究者・技術者が乗船していますが、そのうち9名が女性です。初めて南極に来る学生も8名います。準備は十分にしてきたとはいえ、観測はそれなりに過酷です。でも、女性や経験の少ない学生、お母さんも来られる南極観測航海なんて、素敵じゃないですか。

  

次はあなたもごいっしょに。

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 家族の写真が飾られた研究者のデスク

 

海鷹丸の動きについては以下からご覧ください。

⇨「野外調査隊はどこ? 海鷹丸による海洋観測

 

2019.01.16

【2019.1.13】ドーム隊、ノルウェー研究者とお別れ

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氷床レーダー探査車の前で、探査完了を記念して

 

内陸ドーム旅行チームは、ベースキャンプでのアイスコア掘削の他に、アイスレーダーによる氷床探査も無事に終了しました。この氷床探査は将来の氷床深層コア(最古の氷)の掘削候補地を選定するために、米国のカンザス大学、アラバマ大学、ノルウェー極地研究所との連携の下、複数のレーダーを2台の雪上車に設置して実施されました。2台で約2700kmに及ぶ探査を完了し、記念撮影をしました。

  

1月9日には、ノルウェー極地研究所から参加している2名の同行者が、British Antarctic Surveyのツインオッター機で帰路の途につきました。残るドーム旅行チームの日本人10名は、内陸旅行のゴールであるS16を目指して、現在も移動を続けています。

  

ドームふじチームの動きについては以下をご覧ください。

⇨「野外調査隊はどこ? ドームふじチーム

 

【2019.1.12】「海鷹丸」最も重要なミッションのひとつを実施!

 

12日未明2時就寝、朝5時起床。風は4.2 m/s。うねりはあるものの、べた凪(風が全くなく海面に波がない)といってよいでしょう。悪天候のため前日にスキップした観測点に戻ってきました。ここでは、この航海で最も重要なミッションのひとつ、係留系の設置がありました。係留系は、全長4000 m近い長さのロープの途中に、各種センサーや、沈降粒子を時系列で捕捉する装置(セジメントトラップ)などを取り付けたものです。これを、船をゆっくり走らせながら海面に流していきます。すべて流し終わったら、ロープの最後に取り付けた500 kgのアンカーを、目標地点で海中に投下します。先端や途中にフロート(浮き)が付いているので、アンカーが海底に到達すると一本のロープが海底から立ち上がったように設置されます。係留系の各種センサーやセジメントトラップはバッテリーで稼動し、自動で1年間データや沈降粒子サンプルを取り続けてくれます。そして、来年の同じ頃に海鷹丸で回収する計画です。

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係留系の投入開始。一番上のフロートが入ったところ。三角コーンがさかさまになったものがセジメントトラップ。上から落ちてくる沈降粒子(マリンスノー)を捉える。

 

南極の海はその大部分が冬季に海氷で覆われます。氷に覆われた海は砕氷船でもアクセスは容易でなく研究がなかなか進みません。そのため、冬季の海氷下の生態系はブラックボックスとなっています。南極海の生態系を特徴付けているのはこの海氷といって間違いではありませんが、この海氷自体が観測を妨げているというのは皮肉です。我々は冬の南極海について何も知らないといっても過言ではないのです。

  

このブラックボックスを開ける鍵となるのが、係留系です。一年を通した沈降粒子の組成や量の変動などから海氷下の生物活性(生物生産)の季節変化が垣間見られるはずです。係留系をこの航海では5系設置する予定で、1年後の回収に成功すれば、ブラックボックスの中がチラッとみえるでしょう。

  

海鷹丸の動きについては以下からご覧ください。

⇨「野外調査隊はどこ? 海鷹丸による海洋観測

 

【2019.1.11】「海鷹丸」海鳥の分布と海洋生物の分布

 

10日から11日にかけて行う予定だった観測地点は、スケジュール変更を余儀なくされました。海況の回復見込みが立たず、いくつかのデリケート(悪天候に弱い)かつ重要なミッションが一旦見送られることになりました。ここは重要な観測点のひとつなので海況の回復をその場でただ待つという選択肢もありますが、ひとつでも観測を消化するために先に次の観測点へ行き、悪天候に比較的強いCTD観測のみ行い、再び前の観測点に戻る、という計画が取られることになりました。

  

6時間後、そのひとつ先の観測点に着くと風が8 m前後まで落ちているではないですか。読みが当ったと言いたいところですが、本当のところ、何かを読んだわけでもないし、なぜ風が落ちたのかも説明できません。言い訳をすれば、天気図が必ずしも正確ではないからです。日本周辺にいると天気図・天気予報は詳細かつ正確ですが、ここ南極の海では気象データを取得するための観測点が少なすぎて、正確な天気図を書くための情報が少なすぎるということは容易に想像できます。とにかく今は海況がよいので、この観測点で予定されていたすべての観測項目をやっつけて、それから前の観測点に戻ることに…。

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写真はハイイロアホウドリです。大きさは翼を広げると2 mくらいあり、観測中の海鷹丸のすぐ近くを飛び回ります。ここ南緯62度以南くらいからは海鳥の数も種類も急に増えます。我々は、海鳥の分布が、動物プランクトンや魚類など餌となる生物の分布と関係していると見ています。

 

海鷹丸の動きについては以下からご覧ください。

⇨「野外調査隊はどこ? 海鷹丸による海洋観測

 

2019.01.11

【2019.1.11】気象隊員の観測引き継ぎ

 

昭和基地では毎日気象の観測が行われています。

その中の一つに、ラジオゾンデをゴム気球に取り付けて飛ばす、という観測があります。ラジオゾンデとは、高層気象データを随時観測するための無線機付き気象観測機器で、温度センサや湿度センサ、GPS信号受信器が搭載されています。この観測は、強風やブリザード(猛吹雪)の時にも、安全を確保して1日に2回実施されます。

 

夏の期間には、この観測の引き継ぎを行うのですが、今年も59次の越冬気象隊員から60次の気象隊員への引き継ぎが行われています。

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ゴム気球を用意する60次越冬の井上隊員

 

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ゴム気球の放球を行うデッキ

 

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井上隊員、昭和基地での初放球

 

ラジオゾンデの観測の他にも、オゾンの観測機器をゴム気球に取り付けて飛ばす、オゾンの高度分布観測の時にも同様の放球が行われます。こちらの観測は、ほぼ1週間に1回程度の割合で行われますが、昭和基地上空で成層圏のオゾン破壊が進む時期には、回数を増やして監視を強めています。

  

日本にいても、昭和基地にいても、気象情報は非常に大切です。

越冬中も観測を継続できるよう、夏期間にしっかりと引き継ぎを行います。

  

60次隊の現地での活動の様子は教員南極派遣プログラムHPのブログにも掲載されておりますので、是非ご覧ください!

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【2019.1.10】「海鷹丸」暴風圏なかなか抜け出せず…

  

9日、前夜から西風が北風に変わり、風も数メートルに落ちました。暴風圏を抜けたことは明らかです。小雪がちらついていましたが、海はとても穏やかでした。

   

夕方5時過ぎ、この航海で最初の氷山が現れました。船の位置は南緯59度41分、東経109度57分、氷山は船からおよそ17 km離れています。大陸からだいぶ離れているので、形がくずれているようです。これから先は別に珍しくもなくなりますが、記念なので撮ってみました。

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南極に来ている感じがしますね。

  

18:45からは南緯59度での観測開始です。昨年導入しテストを行ってきたMOHTと呼ばれる観測ネット(フレームトロールネット)が登場します。その他に、CTD(水温・塩分などの基本的な要素のほか各層から採水を行う装置)を3回、観測ブイの投入、VMPS(鉛直曵網型開閉式プランクトンネット)、リングネット、ノルパックネットなどなど、合計15時間30分の観測を行いました。

  

穏やかな海況の下、風が無いと楽だねー、そだねー、などと言いながら観測が始まりましたが、観測中に徐々に気圧が低下、風も12 m/sまでに。冒頭に書いたように、9日時点では暴風圏を抜けたと思ったのですが…。

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写真は気圧の記録計です。低気圧が近づいてきて気圧が下がり続けています。10日午後7時の時点で気圧は969 hPaまでになっていました。予報天気図では、海鷹丸の西に960とか970 hPaの低気圧がいくつもとぐろを巻いて並んでいます。この先の観測スケジュール調整が難しくなるかもしれません。

  

海鷹丸の動きについては以下からご覧ください。

⇨「野外調査隊はどこ? 海鷹丸による海洋観測

 

 

2019.01.09

【2019.1.9】夏期間の物資輸送

 

12月22日に昭和基地入りした60次隊は、夏の観測と越冬生活に向けた観測の引き継ぎ、物資の輸送を開始しました。

  

物資の輸送については、12月22日の第一便到着後すぐにヘリコプターによる物資の空輸が始まり、その後、25日に「しらせ」が昭和基地沖へ接岸してからは、昭和基地にある貯油タンクへ燃料のパイプライン輸送を行いました。

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昭和基地にある貯油タンク

 

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「しらせ」から伸びたパイプライン

 

越冬隊が1年間昭和基地で生活する上で必要な燃料を、24時間体制で連続して輸送します。本隊では、25日から27日にかけて行いました。

  

29日には物資の氷上輸送が始まり、年末年始には一時「しらせ」へ戻ってつかの間休息。年明けからは引き続き3日~4日、6日~8日の日程で、氷上輸送を行いました。氷上輸送ではヘリコプターで運べない大型コンテナに詰め込まれた重量物などを雪上車と橇(そり)を使って輸送します。

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雪上車で運ばれて来たコンテナを、クレーンで橇から下ろしている様子

 

雪上車は「しらせ」↔昭和基地間を何度も往復し、「しらせ」で持ち込んだ物資の輸送と、昭和基地から日本へ持ち帰る物資の輸送が無事に終了しました。

  

昭和基地へ到着後、隊員たちは皆、それぞれの仕事で慌ただしく夏期間の作業を行っています。早くも夏行動は中盤を迎える頃。引き続き安全に活動します。

  

現地での活動の様子は教員南極派遣プログラムHPのブログにも掲載されておりますので、是非ご覧ください。

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【2019.1.8】「海鷹丸」深海に降る雪

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写真は、6日に採集された動物プランクトン*です。佐野隊員が撮影しました。佐野隊員の研究テーマはマリンスノー。深海に降る雪、沈降粒子です。沈降粒子は生物の糞や死がい、バクテリアなどで構成されます。

*ユーキレラというカイアシ類の仲間。未成体、つまり子ども。おしゃれさんだが、成体になると左右のヒラヒラは無くなる。雑食性。大きさは3 mm程度。

  

7日は早朝4時半ごろに、南緯50度での観測を終えました。風は強いものの、久しぶりに青空が見えました。観測も明朝5時まで無いため、ブリッジ(操船に関する指揮所)もややのんびりしたムード。天気図は不穏な配置なので、この先どうなるか分かりません。

   

8日、南極前線と呼ばれる海洋前線を越え、いわゆる南極海に入りました。気温・水温とも3℃前後、これから南に行くにつれさらに下がって行きます。海鷹丸は今年も南極にやってきました。今日は予定通り5時から観測。さわやかな朝とはなかなかいかず、風速16-17 m/sの西風。観測を開始したものの、この海況では危険もあり、30分ほど観測を中断。再開後もいくつかの観測項目を断念しました。それでも何とかリングネット(プランクトンネット)を船尾から入れます。

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写真では船尾から大きな波を受ける様子が分かります。この写真を撮った直後、船の動揺で強いテンションが瞬間的にネットにかかり、網口のワイヤーを破断、ネットを逸失してしまいました。

  

海鷹丸の動きについては以下からご覧ください。

⇨「野外調査隊はどこ? 海鷹丸による海洋観測

 

 

【2019.1.6】ドームふじ基地周辺での観測終了!

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採取したアイスコアと一緒にチーム全員で集合写真

 

ドーム旅行チームは、ドームふじ基地から南へ約50kmにあるベースキャンプにおいて、12月29日に142mのアイスコア浅層掘削を完了しました。

掘削した資料は日本に持ち帰り、今後分析を行なっていきます。

ベースキャンプ周辺のアイスレーダーによる氷床底地形や氷床内部層構造の探査も無事終了したため、12月31にベースキャンプを撤収し、S16を目指して帰路につきました。

 

ドームふじチームの動きについては以下をご覧ください。

⇨「野外調査隊はどこ? ドームふじチーム

  

なお、昨年11月29日には、過去に採取されたアイスコアのデータから、以下のような研究成果が発表されました。

北極から南極へ気候変動が伝わる2つの経路 ~南極アイスコアのデータから立証~

  

現在復路の調査を実施中のドーム旅行チームを、引き続き応援ください!